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1.局注

injection

(1) 23G局注針
(2) 局注液:生理食塩水+インジゴカルミン      ※ 局注液にエピネフリン混注は不要です。
(3) 局注ポイント:筋層切開術の開始点から2cmを局注します。 基本的には左主気管支圧排部より肛門側の前壁側であり、切歯30cmに位置します。

2.切開

incision

(1)POEMにはTriangleTipKnife J(OLYMPUS:KD-645L)を使用します。
(2)高周波の設定

 OLYMPUS ESG-300の場合:パルスカット、30W、Effect2。
※ 間欠的な通電が切開に有効です。 ※ 動画では他社製高周波装置(VIO-300D)を使用しております。

(3)常にナイフはゆっくりと慎重に動かさなければなりません。
(4)粘膜下トンネルへの潜り込みには2cmの縦切開が必要

3.トンネリング

tunneling

(1)高周波の設定  OLYMPUS ESG-300の場合:スプレーコアグ、30W、Effect3。

 非常に短い通電が効果的です。  ※ 動画では他社製高周波装置(VIO-300D)を使用しております。
(2)粘膜傷害を避けるためにデバイスを粘膜から離して筋層の近くで粘膜下層の剥離を進めます。
(3)TriangleTipKnifeJのウォータージェット機能を使用して、追加溶液を5〜    10mlずつ粘膜下層に適宜注入していきます。
(4)止血にはコアグラスパー(OLYMPUS:FD-411LR)を使用します。 出血箇 所を同定できたら、責任血管を把持し、粘膜損傷を避けるように慎重に焼灼を行います。
(5)画面の上に筋層を、下に粘膜を保ちます。 このような視野を保つことは非常に重要です。
(6)3分の1周性の切開を推奨します。
(7)粘膜下トンネルは食道接合部より3cm以上胃側まで作成します。
(8)「Spindle vein」は胃噴門部の粘膜下層に存在し、特徴的な解剖学的所見です。

4.筋層切開

myotomy

(1)高周波の設定
OLYMPUS ESG-300の場合:スプレー凝固、30W、Effect3。
※非常に短い通電が効果的 ※ 動画では他社製高周波装置(VIO-300D)を使用しております。

(2)輪状筋のみを選択的に切開し、縦走筋を保つことにより、縦隔との安全な距離を保ちます。
(3)筋層切開を開始する際には、輪状筋の厚さが確認できないため慎重に切開を始める必要があります。
(4)輪状筋切開後、縦走筋が意図せず裂けることがありますが、臨床上問題はありません。
(5)スムーズな切開のためにTriangleTipKnifeJの先端の汚れを除去しきれいにします。 2つのナイフを準備して、それらを交換しながら使用することが効率的です。
(6)輪状筋は完全に切開するべきです。
(7)LESの輪状筋はアカラシアでも厚くはありません。しかし、 薄いLESの輪状筋でも嚥下中に弛緩不全を起こすことから、完全に切開するべきです。
(8)胃側の縦走筋は不明瞭になりやすく、全層切開になることがありますが、有害事象は起こしません。
(9)胃側へ3 cmの筋層切開が推奨されます。 LESの筋層を完全に切開することを可能にします。
(10)筋層の走行が胃側で不明瞭になった場合は、粘膜下層にインジゴカルミン+食塩水を局注します。 そうすることにより粘膜下層と筋層との境界を明瞭にします。

5.確認

confirmation

(1)噴門部を反転操作で観察することにより、GEJの開放を確認することができます。
(2)粘膜下トンネルから注入されたインジゴカルミンも観察でき、筋層切開を胃側まで十分に行えていることを確認することができます。

6.確認(ダブルスコープ方式)

confirmation (double scope method)

(1)粘膜下トンネルを作成した後、ダブルスコープ法にて粘膜下トンネル肛門側端の胃側での位置を確認することができます。
(2)この方法を実践するには、2本目の細径スコープが必要です。 細径スコープは食道に挿入し、胃まで進めます。
(3)処置用スコープは粘膜下トンネル肛門側端まで進めます。
(4)細径スコープを胃内で反転操作することにより、粘膜下トンネル内肛門側端に位置する処置用スコープの先端を視認することができます。透過光を利用して、処置用スコープの位置を明確に視覚化することができます。
(5)ダブルスコープ法を適用することにより、不完全な筋層切開(短すぎる粘膜下トンネル)または過度な胃側への筋層切開(長すぎる粘膜下トンネル)を防ぐことができます。

7. Closure

closure

(1)最初の閉創クリッピングは切開部の肛門側端に行います。最初のクリップで粘膜を寄せることにより、その後のクリッピングを容易にします。2番目以降のクリップはそれぞれ距離をあけずに開口部をしっかりと閉創します。 通常約7つ程度のクリップが必要です。
(2)最初のクリップは開閉式機能のあるQuickClipPro(OLYMPUS:HX-202LR)が適しております。それ以降のクリップは、クリップの大きさからQuickClip 2 Long(OLYMPUS:HX-201LR-135L)がより適しています。
(3)先端斜めフードは、粘膜に適切な張力をかけるのに役立ちます。
(4)食道内容物が縦隔に漏れるのを防ぐために、しっかりとした閉鎖が必要です。
(5)クリッピングの後、クリップの両端から確実に閉創されていることを確認する必要があります。