Case : 気管腫瘍

森川 慶 先生
聖マリアンナ医科大学病院
呼吸器内科
使用スコープ:BF-1TH1200
観察部位:気管上部
患者情報:78歳男性
既往歴:2年前にCOVID-19肺炎で挿管・気管切開が施行された。1年前にマントル細胞型リンパ腫で化学療法施行し完全緩解後、PET-CTで気管右壁に腫瘍性病変の疑いあり、精査目的で紹介となった。3年前まで10本/日・55年間の喫煙歴あり。
症例動画
気管上部の広基性腫瘍は悪性を疑う上皮下血管の走行パターンであり、NBI/TXI/RDIで詳細に観察した。その後出血に十分配慮して生検を実施した。
病理結果
・図A(HE染色):導管上皮様細胞および筋上皮様細胞の増殖からなる腫瘍胞巣がみられ,小嚢胞様の所見を含む篩状構造が特徴的にみられる.
・図B(p63免疫染色):腫瘍胞巣を縁取るように,p63(筋上皮マーカー)陽性所見がみられる.
・最終診断:腺様嚢胞癌
全体コメント
不規則に増生した上皮下異常血管をTXI/NBI/RDIで詳細に観察し得た症例である。声門下の病変で、出血回避のため慎重な生検部位の選定に、各モードでの血管評価が有用と考えられた。特にTXIやRDI3はNBIに匹敵、あるいはそれ以上に血管観察に有用なポテンシャルを秘めることが示唆される。
共同編者
聖マリアンナ医科大学 病理診断科
大池 信之 先生
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