Case:中間気管支幹腫瘍

森川 慶 先生
聖マリアンナ医科大学病院
呼吸器内科
使用スコープ:BF-1TH1200
観察部位:中間気管支幹
患者情報:70歳女性
既往歴:甲状腺腫瘍摘出後。喫煙歴なし。心窩部違和感に伴って喀血あり、近医を受診した。画像検査で右下葉に腫瘤影を認め、精査目的で紹介となった。
症例動画
気管分岐部周囲の正常構造の白色光とTXIの対比に続き、右中間幹腫瘍を白色光/NBI/TXI/RDIで詳細に観察した。
病理結果
出血回避のため、末梢側からの生検を試みた。
・図A(Papanicolaou染色) : 核/細胞質比が高く,核形不整,核クロマチンが増量した異型腺細胞集塊がみられる。
・図B(Papanicolaou染色) : 核偏在傾向で,核/細胞質比が高く,核肥大や核形不整な異型腺細胞が,小集塊~散在性にみられる.
・遺伝子変異検索で、EGFR遺伝子変異が検出された。
・最終診断:原発性肺腺癌(EGFR exon21 L858R)
全体コメント
本症例での気管分岐部直上からのWL/TXIの比較では、まずBAI-MAC機能で末梢病変を明るく認識させ、またTXIは病変のみならず気管・気管支の正常構造の視認性も顕著に高めた点で、ハイスペックな機器による検査の意義を示している。腫瘍の特徴的な上皮下血管はTXI/RDI3で最も鮮明に描出され、かつ周囲組織への浸潤所見も乏しくlow-grade malignancyを考慮するも、EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌であり、分子標的薬が著効した。
共同編者
聖マリアンナ医科大学 病理診断科
大池 信之 先生
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