Case : 右上葉腫瘍

森川 慶 先生
聖マリアンナ医科大学病院
呼吸器内科
使用スコープ:BF-1TH1200
観察部位:右上葉
患者情報:66歳男性
既往歴:既往に狭心症(PCI施行)、脳梗塞、重喫煙歴(40本/日)あり。3か月前からの右上肢浮腫と労作時呼吸困難が増強し、2週前に血痰が出現したため近医を受診し、右上肺野に腫瘤影を認め、精査目的で紹介となった。
症例動画
散布カテーテルを使用して声帯を直視下に麻酔しながらスコープを進め、目的の右上葉支は腫瘍がポリープ状に末端壊死を伴い突出していた。腫瘍の上皮下血管は不明瞭ながら、NBI/RDIで腫瘍の血流量の局在を推定でき、壊死を除去した上で腫瘍本体から生検を実施した。
病理結果
・図A(HE染色):類円形小型な腫瘍細胞の密な増殖がみられる.細胞質に乏しく裸核状で,核クロマチンは繊細,核小体は不明瞭である.
・図B(クロモグラニンA免疫染色):腫瘍細胞は神経内分泌マーカーであるクロモグラニンAの発現を示す.
・最終診断:原発性肺癌(小細胞肺癌)
全体コメント
腫瘍細胞の密な増生により、上皮下の血管の検出は困難であったが、WLに加えNBIやRDIで腫瘍局所の血流量を推測することができ、壊死部を除外し生検し得た症例である。生検に際してはROSEも併用しながら、最適な部位を選択することが、処置の安全性の観点からも重要であるため、意義の異なる各モードで多角的に評価し、その情報に一貫性があるか確認してもよい。
共同編者
聖マリアンナ医科大学 病理診断科
大池 信之 先生
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