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神戸大学医学部附属病院

立原 素子 先生

GuideSheath Kit 2の概要

 CT装置の普及により、多くの肺末梢病変が発見されるとともに、その高性能化により、肺末梢病変への関与気管支が判定しや すくなり、気管支鏡でのアプローチが可能となってきた。当院では、肺末梢部の検体採取をより確実に行うためにEBUS-GS法を実施している。手技にはGuideSheath Kit 2を用いているが、この製品はEBUS-GSの検査効率向上や検査時間短縮を目指し、従来品のGuideSheath Kitが更に改良されたものである。シースにブレードワイヤ層を採用したことで耐座屈性向上を図っており、超音波プローブや処置具などによる病変へのスムーズなアプローチが可能となった。また、デバイス固定用のストッパは、任意の位置で固定できるようクリップ方式に変更されている。本ケースレポートではGuideSheath Kit 2の使用上のポイントや有効であった実臨床経験を紹介する。

肺末梢病変に対するアプローチ~気管支鏡とガイドシース選択の工夫~

 肺末梢病変の気管支鏡検査においては、肺癌の確定診断だけではなく、遺伝子変異マルチ検査に対応できる検体を採取することが重要である。当院では診断率を高く、かつ十分な組織を採取するために、ガイドシース併用気管支内超音波断層法(EBUSGS)を併用し、病変に応じた気管支鏡の使い分けを行っている。肺末梢病変に対してBF-P290とBF-P260Fを中心に使用し、細径のガイドシースを併用している。可能であれば最後にガイドシース抜去後、通常鉗子での生検を追加する。5次以上分岐するような末梢病変には極細径気管支鏡であるBF-MP290Fをファーストチョイスとしている。比較的肺門側に位置する3次分岐以内の病変やすりガラス影(GGO)主体の病変、器質化肺炎など炎症性が疑われる病変には、太径のガイドシースを使用して、より大きく検体を採取する工夫をしている。また、CTにて関与気管支が病変の辺縁に到達し、EBUSにてadjacent toが想定される病変においては、誘導子キュレットやPeriView FLEXを積極的に併用している。いずれの場合においても、検査中、他の気管支鏡のほうが望ましいと判断した場合は、躊躇せず最適な気管支鏡への変更を行っている。現在、遺伝子変異検索に対応すべく、細径鉗子で生検する場合は10個の検体採取を目標にしており、安全にかつ効率的に検体採取を行う必要がある。

BF-P290におけるGuideSheath Kit 2とPeriView FLEXの併用

 GuideSheath Kit 2は従来のガイドシースで時折みられたシースの折れやたわみが生じづらくなっている(Figure1)。特に、肺尖部やS6の病変は強く屈曲するため、従来ではガイドシースの折れが生じ、せっかくEBUSでwithinを描出したとしても、生検鉗子や擦過ブラシが途中で挿入できないこともあった。また、ガイドシースそのもののX線視認性も改善しており(Figure 2)、これらの改良は、検査時間の短縮のみならず、安全に検査が行えることに寄与している。また、BF-MP290Fや細径のGuideSheath Kit 2にも挿入可能な柔軟性のあるPeriView FLEXも開発され、末梢病変において穿刺が容易となった。
 症例は左S3 aの結節であるが、明らかな関与気管支はなく、病変の前方上側に位置するB3 aiiの気管支が、もっとも病変に近い気管支であった(Figure 3)。BF-P290を使用し細径EBUS-GSを挿入したが、予想通りEBUS像がadjacent toであったため、EBUS-GS併用経気管支生検(EBUS-TBB)を4回施行した後に、留置したガイドシースにPeriView FLEXを挿入し、吸引針生検を2回行った(Figure 4)。X線透視で病変の中心に針があることが確認でき、その後のEBUSでwithinが得られたため、EBUS-TBBを3回追加できた(Figure 5)。本症例の最終診断は炎症性結節であった。
 ガイドシースを併用せず、細径や太径気管支鏡で経気管支肺生検を施行する場合、出血や気道上皮の浮腫をきたし、複数回の生検が困難な場合もある。加えて、針生検においては穿刺後出血することも多く、ガイドシースにて止血できることはメリットの一つである。

Figure 1. 従来のシースの問題

GuideSheath Kit シース折れ

GuideSheath Kit シースたわみ

Figure 2. シースの X 線透視性

GuideSheath Kit(従来品)

GuideSheath Kit 2

Figure 3. 症例 ltB3aii 結節影 BF-P290

Figure 4.

EBUS-TBB

PeriView FLEX

Figure 5.

EBUS

Periview FLEX 後の EBUS

さいごに

 末梢病変に対する気管支鏡検査において、EBUS-TBBは繰り返し適切な部位から生検できる重要な手技である。がん遺伝子変異解析に対応できる検体を採取すべく、生検回数の増加やPeriView FLEX などの併用がされており、ガイドシースにはこれらに対応できる耐用性、病変へスムーズにアクセスできる耐座屈性が求められる。また、安全かつ効率的に検査を行うべく、ガイドシースおよびデバイスのX線視認性も重要である。

施設紹介

神戸大学医学部附属病院


兵庫県神戸市中央区楠町7丁目5-2
病床数:934床
神戸市の高度な医療を提供する地域中核病院であるとともに、教育研修・研究開発機能を持つ病院です。がんゲノム医療拠点病院、地域がん診療連携拠点病院であり、多くの肺癌診療を行っています。

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