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佐賀大学医学部 一般・消化器外科 教授 能城 浩和 先生

【はじめに】

1994年にCushieriが腹臥位による胸腔鏡下食道切除術の報告を初めて行ったが、本邦では胸部食道癌に対する胸腔鏡下食道切除は最近まで左側臥位にて行われてきた。近年、腹臥位による鏡視下手術の利点が注目されるようになり、本邦でも多くの施設が導入を試みている。

腹臥位では助手の技量によらずに、主に体位の工夫だけで左側臥位よりも良好な術野展開が得られるところが多く、出血などの浸出液もほとんどの部位で術野に留まらず、鉗子の操作性も良いため術者のergonomicsは良くなった。本来、鏡視下手術は、拡大視効果により微細解剖を認識しやすいため脈管神経の温存に有利であり、さらに良好な術野展開による徹底した縦隔リンパ節郭清を可能にした。腹臥位では完全鏡視下手術に対応しやすく、体壁の破壊を最小限にして術後呼吸機能の維持ならびに術後肺合併症の軽減が期待される。このように多くの利点が期待されるので、我々も2007年12月より胸部食道癌根治術に腹臥位胸腔鏡下手術を導入し、低侵襲な標準手術になるように改善してきた。このたび、オリンパスメディカルシステムズ社より発売のバイポーラエネルギーと超音波エネルギーの同時出力を可能にしたTHUNDERBEAT写真1の使用機会を得たので、当システムを使った手術手技について解説する。

写真1

THUNDERBEAT フロントドライブグリップ

Surgical Tissue Management System & エナジーカート