胸部操作の体位

患者は手術台の右に置いたベッドで麻酔を導入するが、分離肺喚気は行っていない。この方が術中術後の呼吸機能に良いばかりか気管左側の展開が良く、頚胸境界部での操作が格段と良くなる。患者の手術台への設置は最初から腹臥位にする方法と、半腹臥位で手術台のローテーションで腹臥位を実現する方法があるが、我々は前者の方法をとっている。しかし、術中手術台を多少ともローテーションすることもあり、マジックベッドを用いて腹臥位にしている。これにより緊急開胸にも対応できる。右手は腋窩を広く展開するため頭側に強く挙上して、左手は尾側に伸展させたいわゆる水泳のクロール型に固定すると、右胸部肋間の開大が良い 図 1 。眼球の圧迫をなくすための注意と術中気管内分泌物の気管支鏡下吸引を行うために、顔を横に向けている。術者、第1助手およびカメラ助手はともに腹臥位になった患者右側に立ち、ハイビジョンモニターは対側に1台のみ設置している。