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東京慈恵会医科大学
郷田 憲一 /田尻 久雄
食道
A:切歯より22cmの8時方向に淡い発赤調を呈する病変を認める。病変は12×10mm大、ほぼ平坦で、その境界はやや不明瞭である。
B:白色光で境界不明瞭であった病変は、NBIで境界明瞭な茶褐色調領域(brownish area)として描出される。また、白色光と同等に明るい画像が得られ、病変部の数cm胃側まで、広範囲にわたり食道粘膜を明るく観察できる。
C:1.5%ルゴール液を撒布し、約3分後に撮影した内視鏡像である。病変部は境界明瞭な不染域を呈しており、わずかの赤味を帯びている(pink-color sign陽性)。
D:病変部は境界明瞭な茶褐色調領域として描出され、病変の周囲ではシアン色の正常血管網がみられるが、病変部では視認できない。病変部の表面は粗造で、2ヵ所に白苔を伴うびらんがみられる。
E:Near Focusモードでは、茶褐色調領域内に拡張と延長を伴う異常な微小血管の増生とともに、微小血管間の淡い茶褐色調変化が視認可能である。以上より、内視鏡的に扁平上皮癌と診断できる。
F:Near Focusモードに1.4倍の電子ズームを加えると異常な微小血管の形態学的変化を詳細にとらえることが可能となる。病変中央から右側には、拡張した微小血管が著明に延長し、それらが不規則に癒合する像もみられる。以上より、癌細胞浸潤が粘膜筋板まで及んでいる可能性が示唆される。
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京都大学医学部附属病院
武藤 学
胃
A:胃体上部小彎後壁側に発赤調の小病変を認める。
B:胃体上部小彎後壁側に周囲より濃い色調のbrownish areaを認める。
C:胃体上部小彎後壁側にインジゴカルミンをはじく易出血性の発赤調の陥凹面が明瞭に視認できる。
D:胃体上部小彎後壁側の濃い色調のbrownish areaでは腺上皮構造が消失した陥凹面として視認できる。
E:不整な陥凹面の辺縁に一致して明瞭なdemarcation lineを認め、陥凹内にはfine network pattenを呈する異型血管像が視認できる。
F:明瞭なdemarcation lineと陥凹内の不整な血管像がさらに明瞭に視認できる。生検では高分化型腺癌と診断された。
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東京大学医学部附属病院
藤城 光弘
胃
胃噴門部小弯に、1cm大の陥凹性病変を認める。通常白色光による遠景画像(A)では、わずかな粘膜表面の変化には気づくものの病変としての認識は困難である。通常白色光による近接画像(B)で、不整な表面構造、わずかな自然出血の存在からはじめて腫瘍の可能性を考えるが、腫瘍とした場合、範囲の同定までは困難である。(A)と同様の距離からのNBI遠景画像(C)であるが、十分な光量のため、茶褐色を呈する病変の存在診断は通常白色光よりもむしろ容易である。NBI近接画像(D)では、病変の範囲が茶褐色領域として認められ、おおよその範囲診断が可能である。NBIニアフォーカス+電子拡大(×1.4)画像(E)では、粘膜表面構造は明瞭に観察され、不整な表面微細構造と表面微細血管が明瞭な境界を持って領域性に存在し、癌と診断できる。NBIニアフォーカス+電子拡大(×2.0)画像(F)では、従来の光学拡大内視鏡に匹敵する、より詳細な観察が可能である。本スコープは、先端の湾曲性能も向上しており、5時半方向からの送水機能も有していることから、鉗子口が2.8mmというLimitationはあるものの、本症例のように噴門部に存在する病変に対しても、本スコープ1本でNBI拡大内視鏡観察からESDまでの一連の内視鏡手技の完遂が可能である(G.粘膜切開・局注、H.粘膜下層剥離、I.ESD標本)。ESD標本の病理診断は、0-Ⅱc型早期胃癌(分化型M癌)、切除断端陰性であった。
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東京慈恵会医科大学
郷田 憲一/田尻 久雄
食道
A:切歯より32cmの2~4時方向に15×8mm大の発赤調病変を認める。
B:白色光で発赤調を呈する病変は、NBIでは境界明瞭な茶褐色調領域(brownish area)として、より明瞭に描出されている。また、白色光と同等にNBI光でも、病変部より胃側の下部食道まで明るい画像がえられている。
C:病変部は正常血管網の途絶を伴う領域として明瞭に認識できる。病変境界は白色調の顆粒状~扁平隆起で縁取られており、その内部は淡い発赤調を呈している。
D:NBI光でも極めて明るい画像がえられ、病変を縁取る白色調隆起はより明瞭に描出されている。また、非拡大観察であるにも関わらず病変周囲の非腫瘍部において、無数の上皮乳頭内血管ループ(IPCL)が観察され、病変の範囲をより明瞭に認識できる。
東京大学医学部附属病院
藤城 光弘
胃
胃体上部から穹窿部の前壁にかけて、2cm大の低い隆起性病変を認める。凹凸不整な表面構造より癌を疑う。通常白色光による遠景画像(A)では、やや発赤調の小弯側、やや白色調の口側、大弯側は、腫瘍境界をきれいに追うことができるが、正色調で段差の目立たない肛門側の腫瘍境界が不明瞭であり、Ⅱb進展の可能性も考えられる。NBI遠景画像(B)では、十分な光量のため遠景でも病変の認識が可能である。通常白色光で不明瞭であった肛門側の腫瘍境界も周囲粘膜の規則正しい表面構造を病変に向かって追うことで隆起の辺縁と一致することがわかる。NBI近接画像(C)では、詳細な所見を読むにはこの観察距離では不十分ではあるものの、周囲粘膜の規則正しいピット様構造も観察され、不規則に配列する腫瘍部との境界がより明瞭となる。腫瘍部は粘膜内に存在する微細血管の透見が低下していることに起因して周囲より白色調でぼかしがわずかに入っているように見えるため、色調の濃淡とコントラストの鮮明さを頼りに病変の範囲診断を行うことも可能である。インジゴカルミンによる色素内視鏡画像(D)では、通常白色光やNBI観察法に比べて、病変内構造の変化や腫瘍境界をより明瞭に観察することができるが、NBIでも十分、病変の拾い上げから質的診断、範囲診断は可能である。病変は内視鏡切除され、0-Ⅱa型早期胃癌(分化型M癌)の診断であった。本スコープは、NBIの改良、高画質化のみならず、先端硬性部がより短くなり小回りが利くことも大きな特徴であり、特に噴門部や穹窿部に存在する病変へのアプローチには大変有用である。
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東京医科大学病院
河合 隆
咽頭
A:白色光観察では、中咽頭前壁に発赤しやや凹凸を伴う病変を認める。
B:NBI観察では、同部位は明らかなbrownish areaとして認められた。
C:NBI近接観察にて、brownish area領域内にドット模様のように見える大小不同に拡張した上皮乳頭内の血管を認める。
D:さらに近接すると、病変の中心部に拡張した異型血管を認め、同部位からの生検にて扁平上皮がんを認めた。
東京医科大学病院
河合 隆
食道
A:NBI観察にて、9時方向に境界明瞭な不整形のbrownish areaを認めた。
B:同部位のNBI近接観察にて、brownish area領域内に一部ドット模様のように見える異型血管を認める。
C:白色光観察に戻すと同部位は淡い発赤した領域として認められる。
D:ヨード染色にて同部位は明らかな不染領域として認めた。ESDにて、扁平上皮癌であった。
GIF-XP290N
東京医科大学病院
河合 隆
胃
東京医科大学病院
河合 隆
胃
A:白色光観察では、幽門前部小弯に淡い発赤状の隆起性病変を認める。
B:インジゴカルミン色素撒布にて、同部位の隆起性病変は明瞭化し、表面の凹凸も観察できる。
C:NBI観察にて同部位は褐色調の顆粒状の隆起性病変として認識できる。
D:NBI観察にて病変が小弯側に伸展している様子が観察可能であった。ESDにて、高分化型腺癌であった。