CF-HQ290L/I
広島大学病院
林 奈那/田中 信治
大腸
A:直腸Raにやや発赤した25mm大のLST-G結節混在型を認める。
B:全体的にsurface patternを認めるが、中間景のため詳細は不明である。従来と比較しNBIモードでも明るいため、近接でなくても病変やその周囲を含め、全体像が観察しやすくなった。
C:中間景のため詳細は不明であるが、ややirregularなpit patternを呈している。
D:中心部はやや不整なsurface patternを認める。ワンタッチ操作でNear focusに切り替えることができ,近接することでこの程度の鮮明な画像を得ることができる。弱拡大画像ではあるが、surface patternがirregularであることが診断可能である。
E:電子ズームであるが、高画素のため画質の劣化を感じることなく詳細なsurface patternが観察できる。電子ズームなしのNear focus像と比較すると不整なsurface patternがより詳細に観察可能である。
F:NBIモードと同様、電子ズームであるが画質の劣化を感じることなく十分pit pattern診断可能である。不整なpit構造でⅤI型軽度不整pit patternと診断した。
CF-HQ290L/I
東京慈恵会医科大学
斎藤 彰一/田尻 久雄
大腸
A:病変は上行結腸中部にあり、正常周囲粘膜と比べ、わずかに白色調の病変として認められる。腫瘍径は約22~25mm程度の表面型病変である。送気にて伸展性は良好で、明らかな硬化像・引き連れ所見は見られない。全域において、散在性に発赤班を認め、炎症性変化を伴う。
B:視野全体が明るく明瞭に観察できる点が本システムの利点と考えられる。従って白色光と比べ、境界が明瞭に描出されている。病変は腸管約1/4周で全体的に白色調を呈し、表層部に数本の無名溝に類似した溝が数条にわたり観察される。また白色光で観察された発赤班は茶褐色調の所見として認識される。
C:十分な水洗の後、インジゴカルミン撒布を行った。色素撒布を行い、少量のインジゴカルミン溶液を残すと病変部の境界がNBI所見と同様、明瞭になり表面性状は平滑で明らかな隆起や陥凹は認められていない。軽度の炎症性変化を伴う粘膜である。
D:腫瘍・非腫瘍の鑑別が必要なため、拡大観察を行った。病変自体が従来のscopeと比較して、明るく観察できることも特徴である。そのために拡大観察でも十分な視野が確保可能である。腺管開口部は軽度拡張しており、白色調の斑点として認められる。
E:さらに電子ズームを用いて詳細に拡大観察を行った。高解像度のため電子ズームを行っても、光学ズームと同様に明瞭な詳細画像で観察することが可能である。またDと同様、明るい視野を確保できる。病変部では血管拡張は見られず、正常粘膜の腺管開口部と比較して、開大所見がみられるのみである。
F:表層部の粘液付着により、十分な染色がなされていない。電子ズームによる拡大所見でも視野が明るいため、従来の機種と同様、鮮明な画像で観察可能である。本所見からも明らかな腫瘍性pitの存在はみられず、病変頂部に著明に拡張したⅡ型pitを認め、過形成性病変が疑われた。以上より腫瘍径も加味するとsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)を考え、内視鏡治療を施行した。
CF-HQ290L/I
京都第二赤十字病院
河村 卓二/安田 健治朗
大腸
A:下部直腸に無茎性の隆起性病変を認め、頂部に陥凹を伴っている。
B:NBI観察でも、十分な明るさで病変および周囲粘膜の観察が可能である。
C:非拡大でも病変に近接しNear Focusモードにすることで、Ⅳ型ピットパターンが明瞭に観察できる。
D:電子ズームでも画像の劣化は軽度であるが、インジゴカルミン散布では陥凹部のピットパターンの有無は判定困難である。
E:陥凹部のsurface patternは認識困難である。陥凹部には断片化した小血管が散在しており、一部に無血管領域が疑われる。
F:拡大率は十分ではないものの、陥凹部のピットパターンはⅤN型が疑われる。
総合的に本病変はSM深部浸潤癌と診断した。病理学的にはSM浸潤度6000μmであった。以上のように本機種のNear Focus機能および電子ズーム機能を用いることで、かなりの範囲でNBI診断やピットパターン診断を行うことが可能と考えられる。
CF-HQ290L/I
京都大学医学部附属病院
堀松 高博
大腸
A:上行結腸のヒダの間に6mmの発赤を呈する隆起性病変(0-Is)を認める。
B:比較的遠景でも明るい視野で観察することが出来、同病変はBrownish areaとして認識される。血管の走向パターンなどの詳細は観察困難であるがBrownish areaを呈するため腫瘍性病変が強く疑われる。
C:NBIでBrownish areaとして認識された部位に一致して境界明瞭な隆起性病変を認める。
D:腺管開口部周囲の間質に血管増生を認める。血管の走向不整については判別困難であるが、間接的に明瞭で比較的整なsurface patternが認識可能で腺腫との診断は可能である。
E:比較的均一な管状のⅢLpit patternを認め、腺腫と診断される。
F:病変の頂部には細い血管が認識されるが、電子ズーム併用では画像が粗くなり血管にピントが合いにくく、capillary pattern TypeⅡ、ⅢAの詳細な鑑別は難しい。しかしavascular areaは認めずⅢBではなく、内視鏡摘除の適応であることは容易に判断可能である。
上行結腸のヒダの間の病変であるが、170度の視野角を有しているため比較的ヒダが深い上行結腸の観察も容易である。Dual focus機能を用いたNear focus観察により血管増生を認め腫瘍性病変との診断は容易に可能である。血管走向については詳細な観察は困難であるが、Capillary pattern TypeⅢA、ⅢBの鑑別は電子拡大併用Dual focus観察にてある程度可能と考えられ、同病変はavascular areaは認識されずcapillary pattern TypeⅢAまでの病変と診断、またインジゴカルミン散布後のNear focus観察にてⅢL pit patternが観察され腺腫との診断のうえ内視鏡的粘膜切除術を施行しtubular adenoma、 low gradeの病理所見であった。