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PCF-H290L/I・ CF-H290L/I

京都第二赤十字病院
河村 卓二/安田 健治朗

大腸

A. 白色光

B. NBI

C. 色素

D. NBI 近接+電子拡大

A:上行結腸に約20㎜大の隆起性病変を認める。170度の視野角を持つため、周囲の襞との関係が容易に認識できる。
B:NBI観察でも十分な明るさを持って病変および周囲粘膜の観察が可能である。また、白色光観察に比べて表面構造の認識も容易である。
C:ハイビジョン画質のため、非拡大でもⅣ型ピットパターンの認識が容易である。
D:やや画質の劣化があるものの、電子ズームではsurface patternがより詳細に観察可能である。

 

本病変は病理学的に腺腫内癌であり、深達度はmであった。本機種が持つ170度の視野角の有利な点として、病変の検出に有効と考えられることのみならず、本症例のように病変全体をとらえたうえで、かつ周囲粘膜との関係も一枚の写真で表現できることが挙げられる。また、NBIでも十分な明るさで観察可能であり、NBI観察による病変検出能の向上も期待される。

京都大学医学部附属病院
堀松 高博

大腸

A. 白色光

B. NBI

C. 色素 近接

D. NBI 近接

A:横行結腸に4mmの淡い発赤を呈する隆起性病変(0-Ⅱa)を認める。
B:比較的遠景でも明るい視野で観察することが出来、同病変はBrownish areaとして認識される。血管の走向パターンなどの詳細は観察困難であるがBrownish areaを呈するため腫瘍性病変が強く疑われる。
C:比較的均一な管状のⅢLpit patternを認め、腺腫と診断される。
D:腺管開口部周囲の間質に血管増生を認める。血管の走向不整については判別困難であるが、間接的に明瞭で比較的整なsurface patternが認識可能で腺腫との診断は可能である。

 

横行結腸の比較的ちいさな隆起性病変であるが、光量がupしているため遠景でも容易に病変の検出が可能である。拡大機能を使用しなくてもインジゴカルミン撒布近接にてⅢLpit patternが観察され、またNBI近接観察ではavascular areaは認識されずcapillary pattern TypeⅢAまでの病変と考えられ、内視鏡的粘膜切除術を施行しtubular adenoma、low gradeの病理所見であった。

AFI

大阪府立成人病センター
上堂 文也

胃(GIF-FQ260Z)

A. 白色光

B. AFI

C. 色素

D. NBI 拡大

A:0-Ⅱc型早期胃癌。胃角前壁に数mmの発赤調の結節を認める。周囲に20mm大の血管透見が不良な領域が広がっているが、境界は不明瞭である。
B:AFIで観察すると、背景粘膜は全体に緑色で、病変は紫色の縁取りをもつ緑色の領域として描出された。中心部の結節は濃緑色に描出された。
C:色素内視鏡では、病変の肉眼形態がより明瞭となった。AFI画像の緑色の領域は不整形の陥凹面で、紫色の領域に対応して陥凹の周囲を低隆起が縁取っていた。
D:病変口側の辺縁部のNBI拡大像。周囲粘膜は腺溝型の微細表面構造を示し、辺縁の低隆起部から中央の陥凹部分にかけて、demarcation lineを形成して不整な微小血管構築と微細表面構造を認めた。

東京慈恵会医科大学
斎藤 彰一/田尻 久雄

大腸(CF-FH260AZI)

A. 白色光

B. 色素

C. AFI

D. NBI 拡大

A:病変は上行結腸遠位側のヒダ裏にみられる。反転観察で見ると発赤調を呈し、左のscopeのシャフトと同様の径で約10mm大の病変を疑う。
B:十分な水洗の後、インジゴカルミン撒布を行った。病変部の境界が明瞭になった。病変辺縁に陥凹境界が明瞭に認められ、正常粘膜で覆われる。陥凹部の性状は凹凸不整で、上皮性腫瘍が疑われる。ヒダ上の病変で、壁の硬化像や周囲からの引き連れ所見は認められない。
C:病変部に一致して強いマゼンタ調の色調変化を認める。画質が従来機種と比較して、格段に上がっており、口側から肛門側にかけて明瞭に観察可能である。
また血管透見も視認できる。なお、病変部の辺縁は正常周囲と同様のダークグリーン調である。マゼンタ調の色調変化は組織異型度が上がると強くなる傾向が見られ、このことからも悪性所見が疑われた。
D:病変部の拡大観察を行っている。本機種は従来の機種と比べ、視野が明るく観察できるのが特徴的である。そのために拡大観察でも十分な視野が確保可能である。粘膜内病変で観察できるsurface patternは陥凹部全域で消失し、また拡張した血管走行も見られていない。これら所見は粘膜下層深部への浸潤所見を示唆している。このような所見が見られた場合、当科では従来からのクリスタルバイオレットによるpit pattern観察は不要であることを強調してきた。後日、外科切除を施行した。

CF