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おわりに

 NBI の開発によって肉眼では確認困難な上皮内異常血管がより容易に認識できるようになり、今後、上皮内や上皮下層までに留まる早期の癌がより多く診断できるようになると期待される。今回使用したENF-VQ は、高解像な CCD と進化した配光技術を採用したスコープであり、NBI との組み合わせによって、上皮内異常血管の蛇行や拡張をより詳細に観察することができた。これによって、癌の進展範囲の評価のみならず、良性疾患の鑑別もより正確に行えると期待された。特に、リンパ濾胞や炎症などの良性病変を的確に診断することは、不必要な検査を省略して患者の身体的・経済的負担を軽減するためにきわめて重要であると考えられる。

 

国家公務員共済組合連合会 立川病院 耳鼻咽喉科 佐藤 靖夫