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【はじめに】

肝癌に対する治療は、外科的切除、肝動脈塞栓化学療法、経皮的焼却などが選択される。最も局所再発の低い治療法は、必要にして十分な領域の肝切除である。新規エネルギーデバイスを用いた迅速かつ安全な術式の普及により、肝切除後のmorbidityとmortalityのさらなる改善が期待される。THUNDERBEATは超音波エネルギーと高周波エネルギーを同時に出力することで、強い凝固力と素早い切開能力を有するため、肝切除においても有用なデバイスである。

肝癌が非代償性肝硬変に合併した症例では、制癌治療が肝不全を誘発する危険を伴う。この場合、肝臓移植が唯一の根治療法となる。脳死ドナー提供が不十分な本邦では、ほとんどの場合、生体部分肝移植を選択せざるを得ない。ドナーの手術において、肝グラフト庇護の観点から間欠的肝流入血流遮断法(Pringle法)を用いていない当施設では、確 実な止 血と迅 速な肝 離 断を両 立させうるエネルギーデバイスとしTHUNDERBEATを採用している。また、レシピエントの手術においても、組織剥離面からの濾出を軽減するべく使用することで、術後の腹水量の減少を期待している。