On-Demand Library On-Demand Library
リストへ追加
札幌医科大学医学部 消化器内科学講座
山野 泰穂 先生

1. Cold Snare Polypectomyについて

Cold Snare Polypectomy(以下CSP)のメリットとしては、一般的に高周波装置不要、だれでも簡単にできる、後出血・穿孔のリスクが少ないと言われていますが、現状、施設によってバラつきは大きいと考えられます。
たとえば出血に関して、ガイドラインで定義されているレベルの後出血は1~1.7%発生するといわれています。穿孔についてもまったく例が無い訳ではない為、CSPの手技においても、しっかりとした教育を受けることが必要と言えます。

2. 適応

適応は5mm以下の腺腫と考えます。当然ですが癌あるいは癌を疑う病変には 適応すべきではないでしょう。また、SSL( sessile serrated lesion)に関してはその病理組織学的特徴より慎重な対応をすべきと考えています。それらを含めて、拡大内視鏡できちんと診断ができることが、CSPを実施する上での必要条件ですね。

3. 術前診断

JNET分類は最低限必要です。判断しづらい時にはピットパターン分類と併せて、診断を行っていきます。国内施設での拡大内視鏡普及率は十分とは言えないですが、拡大診断は一度身に付ければ、非拡大でもNBIや色素散布である程度の所見が見えてきます。
たとえば病変に発赤や陥凹があったとき、NBIや色素散布を行って周辺の所見との相違を考えることで、拡大しなくてもある程度の病理イメージは見えてくるものです。
ぜひハンズオンやライブ等のイベントを活用して、しっかりと拡大の勉強を行った上でCSPの手技を実施して欲しいと思います。

4. 術後評価

CSPにおいて遺残有無の確認は必須です。切除後の送水はシリンジでも可能ですが、血餅がついている状態で正確な判断を行うのは難しいため、ウォータージェット機能等で洗浄を行い、遺残がないかを確認していきます。
また、切除後の標本評価もしっかり行わなければなりません。術前に腺腫と診断していても、結果として癌が含まれていることも希ながら経験しますので、断端の評価含めしっかり確認することが重要です。CSPの標本は脆いことが多いため、回収時は愛護的に行うことも心がけるべきです。