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5. CSPの課題と手技のコツ

CSPの課題としては、断端陽性のリスクが挙げられます。
垂直断端に関しては、粘膜筋板が付着していない場合が多く、評価ができなかったという報告が多くあります。私もColdEMRとEMRを、同じ局注針・スネアを使用し比較しましたが、標本の厚みが全く異なりました。Cold手技は粘膜筋板がぎりぎりあるかないかで、粘膜下層はとれていませんでした。
その大きな要因としては、スネアが粘膜筋板を切断するまでの時間が関係していると考えています。スネアで絞扼すると、粘膜自体は外側に広がろうとします。スネアを締めれば絞める程その力が強く働きます。通電して一瞬で粘膜筋板を切除するのであれば、大きな影響はありませんが、CSPのように物理的に引き裂くと、どうしても通電で切るのに比べて時間がかかるため、粘膜筋板の外側への広がる力が影響して粘膜表層をスネアが滑るような形になってしまうと考えられます。(Fig1)

水平断端に関しては、スネアを絞めていくと突出長は当然短くなります。この際、どんなにやわらかいスネアでも、突出長が短くなればなるほどワイヤー硬度が増していきます。結果的に、それがつかえ棒の役割を果たして、スネアの手元側が浮き、絞扼している粘膜が徐々に滑って逃げてしまいます(Fig2,Fig3シェーマ)。スネアを絞める際に手前側の粘膜に余裕を持つことと、ブラインドではなくきちんと対象病変の手前側を見ることが重要です。アプローチの際、角度がつくとますます手元が浮きやすくなってしまう為、出来るだけ接線方向でアプローチすることも重要です。また、スネアで粘膜を押し付ける力が強ければ、摩擦力が働く為、ズレを最小限に留めることができると考えます。これらの対策を取った上でも、多少はスネアが浮き、粘膜が滑ってしまうことを想定しておくと良いでしょう。