Case:右上葉腫瘍
淺野 文祐 先生
岐阜県総合医療センター
呼吸器内科
症例情報
使用スコープ：BF-1TH1200
症例：右上葉腫瘍
部位：右上葉気管支
患者情報：70歳代男性
既往歴：健診の胸部CTで右肺門部の腫瘤影を指摘されて当科紹介となった。
1. 右上葉の腫瘍全景（WLI）
右主気管支からの観察画像。右上葉に露出するポリープ型の隆起性病変を認める。
2．右上葉の腫瘍全景（TXI）
TXIでは腫瘍周辺の縦走襞や粘膜の微細な血管網などの構造がWLIより強調されてクリアに見える。縦走襞は奥に向かって収束し尖型狭窄を呈している。
3. 右上葉の腫瘍近接像（WLI）
腫瘍の表面は凹凸不整で、一部に出血を認める。腫瘍の一部（画面の右上）では上皮層への進展が疑われる。上葉は腫瘍により閉塞している。
4．右上葉の腫瘍近接像（TXI）
TXIではWLIに比べて腫瘍表面の血管が強調され、一部に赤色点を認める。
5．右上葉の腫瘍近接像（RDI）
RDIでは、腫瘍から活動性の出血がないことがわかる。
症例動画
病理診断
肺扁平上皮癌（右上葉腫瘍のTBBおよび縦隔リンパ節転移部位のEBUS-TBNAでの診断）
角化傾向を示す扁平上皮癌の増殖を認める。
全体コメント
肺扁平上皮癌（cT1N2M0 stage ⅢA）の症例。末梢発生の進行した扁平上皮癌の一部がポリープ状に中枢に進展した気管支鏡所見を呈している。縦走襞の収束する所見から右上葉支は尖型に狭窄しており気管支周囲にも病変が及んでいると思われる。TXIでは縦走襞や粘膜の微細な血管網などの構造がWLIより強調されてクリアに観察できた。
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