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JA尾道総合病院 消化器内科 花田 敬士先生

JA尾道総合病院 消化器内科

花田 敬士 先生

かかりつけ医-中核病院の地域医療連携による
膵癌早期診断体制を構築し5年生存率が改善

膵癌は多様な癌種のなかでも特に生命予後不良な悪性腫瘍ですが、近年、腫瘍径10mm以下の小径で早期診断された症例の予後は良好であることが明らかになってきました1, 2)。そのため膵癌早期発見を目的として、地域医療連携による診断体制構築の取組みが各地で進められています。当院がある尾道市では、2007年から尾道市医師会の主導により「膵癌早期診断プロジェクト」が展開され、5年生存率の改善などの成果が現れています3, 4)

同プロジェクトでは、2006年に日本膵臓学会より膵癌診療ガイドライン(以下、ガイドライン)の初版5)が発表されたことが大きな後押しとなり、かかりつけ医と当院を含む中核施設の地域医療連携による膵癌診断アルゴリズムの運用が始まりました。かかりつけ医はガイドラインに記載された膵癌リスク因子の有無の確認や腹部エコー(US)検査を行い、異常所見を認めた膵癌疑い例を中核施設に紹介します。中核施設で はCTやMRI・MR胆管膵管造影(MRCP)、超音波内視鏡(EUS)などによる精査を行って診断を確定させます(図1)。