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EUSの優れた膵病変検出感度についてエビデンスが蓄積
膵癌スクリーニングではフローの第2段階で選択可能

膵癌診療ガイドラインの診断アルゴリズムにおけるEUSの位置付けは、2013年版7)では、CTやMRCPで診断確定で きずにさらなる精査を必要とする場合、すなわち第3段階で選択する診断モダリティとして推奨されていました。これに対し改訂された2016年版6)および2019年版8)では、EUS施行のタイミングが1段階早くなり、US画像上の異常所見などから膵癌が疑われた場合の精査、すなわち第2段階で選択することが推奨されています(図2)。

さらに2019年版8)では、2016年版6)にあった「EUSよりも造影CT、造影MRI(MRCP)が望ましい」という注釈の文言が削除され、EUSの位置付けがさらに高まっています。このように膵癌スクリーニングにおけるEUSの位置付けが向上した背景として、空間分解能が高いEUSが、CTやMRIと比較して膵病変の検出感度において優れることを示したエビデンスが蓄積されたことが挙げられます9)。またEUSの普及が進み、安全性が高く患者負担の少ない検査であることについての認知度も向上してきました。

 

初回スクリーニングの精査で膵管の口径不同や狭窄・拡張、膵嚢胞といった膵癌を示唆する間接所見を認めたものの膵癌と確定されず、経過観察となった症例に対しては、原則として半年に1回のフォローアップを行っています。その際の診断モダリティについては、膵腫瘤は描出されないがより著明な膵管拡張や膵嚢胞の増加など間接所見に経時的変化がみられている場合は、より強く膵癌が疑われるためEUSを第一選択としています。それ以外の場合は患者さんの希望も踏まえ、MRIを選択することもあります。

図2 膵癌診療ガイドライン2019年版による膵癌診断のアルゴリズム
[文献8より一部改変して転載]