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膵管拡張・膵嚢胞などUS画像上の間接所見を
紹介基準として精査適応の膵癌疑い例を拾い上げ

プロジェクト立ち上げの準備期間においては、連携先となるかかりつけ医の先生方に対し、膵癌をはじめとする膵疾患について地道な啓発に努めました。特に小径で発見された膵癌症例のUS、CT、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)画像を提示し、早期発見・診断が良好な予後につながることについて理解を得ていきました。そのうえで、精査目的の膵癌疑い例の紹介基準としては、US画像上で膵管が不自然に描出された症例を積極的に紹介してもらうよう呼びかけ、周知してきました。

 

 

長期予後が期待できる初期の膵癌では、US画像上で膵腫瘤が描出される頻度は比較的低いものの、間接所見として膵管拡張や膵嚢胞が比較的高頻度に描出されることが分かっています2, 6)。ただし膵管拡張について、膵管径の基準値を具体的に定義することは困難なうえ、USで膵頭部や膵尾部を含めて確実に膵全体を描出するには、経験と技量を要します。そこで、できるだけ簡便な紹介基準の提示として、正常膵管のUS像は必ずしも明瞭ではなく、膵体部中央を長軸方向に走行する低エコー領域を認めた場合には、何らかの膵管の異常が疑われることを説明してきました。

 

 

加えて、紹介後に行う精査では、侵襲性が少なく安全性の高い検査方法で、膵全体を観察することを説明してきました。こうした啓発努力により、精査の適応となる膵管異常所見例をより確実に拾い上げるスクリーニング検査体制が構築され、膵癌早期診断を促進することができました。