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癌性胸膜炎

国立国際医療研究センター病院 石井 聡

【症例A-1】
壁側胸膜後壁に粒状~小結節病変、血管の増生を認める

【症例A-2】[NBI画像]
白色光と同一部位をNBIで撮影。血管の走行がより明瞭にわかる。

【症例B-1】
壁側胸膜後壁に白色~ピンク色の腫瘤病 変、大結節病変をびまん性に認める。

【症例B-2】[NBI画像]
白色光と同一部位をNBIで撮影。腫瘤部位の凹凸がより明瞭化する。壁側胸膜の血管の走行だけでなく、腫瘤表面の血管の走行も明瞭にわかる。

【症例B-3】
従来のファイバーと比べ湾曲角が180度まで広がったため、ポート挿入部近くの腫瘤病変も観察が可能になり死角が少なくなった。

【症例C】
ポート横の腫瘤も観察可能であり、180度湾曲した状態でカメラを腫瘤近くまで近づけ、腫瘤・血管の走行を観察できる。

ワンポイント

癌性胸膜炎は比較的びまん性に散在している症例が多いが、限局性の症例もあり観察に注意が必要である。LTF-H290はファイバー先端の湾曲角が180度まで広がっており、ポート挿入部付近の病変の観察も可能である。180度湾曲した状態でも生検鉗子の挿入、生検も行なえる。胸腔内全体を観察した上で、どの部位が一番安全に十分量の組織を採取できるかを検討する。


癌性胸膜炎は隆起性病変を認めることが多く、腫瘤病変が多いが粒状~小結節病変を認めることもあり注意が必要である。NBIを用いた方が腫瘤部位の凹凸が明瞭化し輪郭がはっきりとする症例も認める。NBIにて壁側胸膜の血管の走行を確認するだけでなく腫瘤内部に太い血管が散在するかも確認する必要がある。

結核性胸膜炎

茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 鏑木 孝之

【症例D-1】側胸壁
側胸壁に径2mm程度の白色の粒状(粟粒状)病変が密に認められる。
胸膜は赤色で軽度肥厚し充血した血管増生を認める。

【症例D-2】肋骨横隔膜角
側胸壁と横隔膜
[血管病変]充血と血管増生を認める。
[軽度の胸膜肥厚]軽度の赤色変化を認めるが肋間構造は透見可能である。

【症例E-1】左下葉側胸壁横隔膜
3mm以下のピンクから白色の粒状病変が散在性に分布している。
横隔膜呼吸運動下でも鮮明な画像が得られる。

【症例E-2】前胸壁
白色1-3mm大の粒状結節
融合結節が混在する。

【症例E-3】左下肺と横隔膜
横隔膜は赤色で拡張した血管を認める。

ワンポイント

局所麻酔下胸腔鏡で胸腔内を観察すると壁側胸膜に黄色、ピンクなど薄く色づいた白色の1-5mm程度の小結節がびまん性に分布する。発症早期の胸膜は赤色で軽度肥厚し、充血した拡張血管を認める。時間経過により胸膜の結節は融合傾向を示し、より経過が長くなると胸膜の肥厚の中に特徴的な結節は埋没する。結節病変を内視鏡下で生検することによりほとんどの症例で類上皮性肉芽腫を検出する。胸腔内の炎症性変化が強くなった場合は壁側胸膜の生検も難しくなることがあるため、局所麻酔下胸腔鏡による早期の積極的胸腔内アプローチが望ましい。